セクシャル・ハラスメントはさまざまなハラスメントの中でもっとも多く問題になっている種類になっています。まるで男性ならセクシャル・ハラスメントをするものだと指弾されている気分になりそうです。

でもあえてここでの大前提は、セクシャルな関係を求めている男性がすべてではないというものです。セクシャルな関係を目的としている人は公の場では該当するような行為をしないでしょう。周囲に悪影響があるのはわかっているはずです。

ですから、基本的に二人きりになるのを避けるという方法。酒の場は戦場と思うべきです。お酒はまず理性を麻痺させるところに働きます。自分の立場を忘れ、すべきことを忘れて自分を見失います。他の人が居合わせても理性に基づいた援護は期待できません。

そして相手の感情を刺激しないのが原則です。人格やその人の立場を傷つける言動は、感情に強く作用します。なので飲酒の機会をできる限り少なくするのが鉄則です。少なくとも一緒に酒を飲まないという方針を貫いてください。

普段から自分から距離感を提示するように心がけます。自分から提示しなければ、相手が自分の都合で距離感を強要するでしょう。何でも良いという考え方は、無責任のそしりを受けます。また親しければ良いとするのも考えものです。自分に都合がよい距離感で接するために工夫と技術が必要なのです。

例えば、直接的な方法より間接的な方法が優れているという考え方。直接的な方法は意識的なメッセージだから分かりやすいですが、感情的な態度に出られて困った結果を招きやすい側面を持っています。そうすると立場的に追い込まれてしまうと対策がなくなってしまいます。

直接的な方法では感情があらわになりやすく、かえって難しいものです。分かりやすいメッセージは意識の抵抗を受けるからですね。ですから間接的な方法で無意識に語りかけるのが効果的です。

そのために使えるのは礼儀作法ですが、これは距離を暗示する機能を持っています。礼儀作法を弁えて距離感を提示すれば、相手の無意識に距離感を伝えられます。敬語を使う人と敬語を使われる人は社会的立場が違うという理性の規制があり、敬語を使われる人は道徳的であることを求められていることを上手く利用しましょう。

少し気分が違うといって、相手との応答を断絶しないようにしましょう。応答が途絶すると相手の強度を増す結果になるからです。返事をしないでいると、聞こえないのかと思われて過剰な呼びかけに打って出るようになるはずです。

これは聞こえが悪い人は声が大きいという事実でも確認できます。自分が聞こえないと相手が聞こえていないと考えてしまうのです。なので応答を明確に伝わるように工夫すると良いでしょう。

敬して遠ざける作戦をおすすめします。といっても敬語を正しく使うでけです。敬語を間違って使うのは相手を馬鹿にするのと同じで相手の感情を揺さぶります。具体的な例を挙げれば、依頼の言い回しに気をつけたいものです。

「〜してください」という言い方は一見すれば、敬語のようですが実は、単なる命令を丁寧に言っているだけ。この物言いでは相手は内規化されている社会的規範に呼びかけるどころか、感情を強く刺激してしまうのです。

「だれが」という行為の主体に関する敬語を正確に使うのが肝心なのは言うまでもないでしょうが、どのような状況にあっても返事や挨拶をするのが大人にとって最低限の礼儀作法だと心得たいものですよね。

すべての人がハラスメントするのではないという事実は重要です。ハラスメント傾向の人に場を与えず、動機を与えないようにするのが自分を守るための対策としてもっとも有効でしょう。