運悪くパワー・ハラスメントの渦中に陥ってしまったら、残念でしたで済ますわけにはいきません。リスクに備えるのは、最悪の事態に対処する方針を決めておくのが肝要だからです。最悪の事態に対策しておくことで、むしろ余裕が生まれて事態を悪化させずに済むものです。

パワー・ハラスメントに対抗しなければならなくなったなら、何より撤退を覚悟する必要があります。最悪の場合は撤退です。決して頑張りすぎてはいけません。消耗させられてしまい、生活の全体まで追い詰められてしまう危険があります。

パワー・ハラスメントする人は相手が弱いと思うと強く出るのが特徴です。職場であれ、学校であれ、必ず相手の方が力があるという認識を誤っては事態は急激に悪化します。人間が平等だとしても、パワーバランスは平等でありえません。

兵法36計逃げるが勝ちの精神が役立ちます。勝ち目のない戦いを戦いをすれば、消耗し尽くして再起を図るのも困難になるでしょう。相手がどんなに強く出ても、必ず逃げる方法はあるはずですし、逃げるのであれば、被害も最少に止めれます。

会社であれば、転職を準備するべきです。退職してから次の就職先を探すのではありません。退職する前に次の職場を確保するのが賢明です。こうすれば、退路を確保できて、抵抗するのに余裕が生まれます。

同じように学校なら、転校も一考に値します。教育は相応しいものを求めて何度も転居するのが良い戦略だとも言われています。パワー・ハラスメントを受けていながら、学業に集中するなどありえないからです。

パワー・ハラスメントと正面切って争うべからずと、是非心得ていて欲しいところです。パワー・ハラスメントに限らず、力が強い相手と正面切って争うのは利口ではありません。正々堂々とスポーツマンシップを発揮するのはゲームの中だけでいいでしょう。

界に入りては穏やかに戦えというのが、囲碁で教えられる戦いのコツです。相手が強い勢力圏で勝負する時に、相手を負かそうと頑張ってはいけません。相手につぶされないようにするのが争いの勝負所とします。つまり、欲をかかずに、治まるのを最優先にする戦い方です。

なにより相手が強いところでまともに戦うと被害が大きくなりますし、大きな利益を獲得できる見込みがありません。パワー・ハラスメント上司を更迭できたとしても、その後を継ぐ上司がより良くなる保証がありませんよね。

ですから、かわしてかわせるなら、現状維持するのが最善です。事を荒立てて、大仰な行動を取ると自分の損失が多くなるだけです。というわけで、あえて宣戦布告しない、が上策だと思います。

また事を荒立てたり、正面から反論などと宣戦布告すれば、過剰に圧迫してくる可能性があります。しばらくは居心地が悪いかも知れないが、必ず環境は変化します。

具体的には相手が欲しているものを与えて上手く立ち回ります。頼っているように見せて、感謝と賛美を相手に与えます。正直である必要はないがウソは事態を悪化させると考えて、弱みを晒して攻撃を避けるようにすると相手が変化してくるはず。

パワー・ハラスメントに抵抗するのは戦うのと同じです。そもそも理性的な対話を期待できないからです。ですから自分の理性が頼みの綱ですが、自尊心は不要です。自尊心が強すぎると行動が倫理的になってしまい、判断が鈍ります。

尊厳に対する攻撃が中心になり、追い詰めようとします。ですから正しく倫理的であるのを追求しない、安っぽい正義感を露わにしてはいけません。またパワー・ハラスメントと戦うために客観的データが必要なので、密かにポケットに録音機を忍ばせて、証拠集めを忘れずに。健闘を祈ります。